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2019年7月1日(月),昭和オプトロニクス株式会社 角谷 実 先生による先端光科学講義T「レーザダイオード(LD)励起固体レーザの設計」,7月2日(火)~4日(木),昭和オプトロニクス株式会社 角谷 実 先生による先端光科学実験実習T「レーザの時間応答制御と波長制御」が開催されました.  

講義では,結晶やガラスにドープされた遷移元素や希土類イオンの電子遷移による光の増幅を利用した固体レーザーについて,その構造や様々な利得媒質,吸収・蛍光スペクトルについて,誘導放出,4準位レーザーモデルやレーザーの増幅機構について,解説いただきました.Nd:YAGを媒質とした発振波長1064 nmのレーザーの設計を例として,光線追跡,発振モード体積や励起による媒質の温度上昇の影響など,レーザーを設計する上で考えなくてはならないパラメタとその計算方法について解説いただきました.また,レーザーダイオード(LD)を励起光とした発振波長1064 nmのNd:YVOレーザーを例に,LDをCW/パルス駆動した際の光出力の違い,パルス駆動による発振の緩和振動,利得スイッチングによるレーザーのパルス発振について解説いただきました.最後に,ABCDEF行列を用いることによるレーザー光学系のミスアライメントの影響を計算する手法や,ミスアライメントがレーザー発振に与える影響をシミュレーションした例について解説いただきました.

実験実習では,@固体レーザの時間応答とA半導体レーザーの波長制御の2テーマについて実験実習を行いました.実習@では,Nd:YVO4レーザの共振器内に設置されたSHG結晶の温度を変化させて出力パワーを計測し,最適なSHG結晶温度を決定しました.次に,励起光源であるレーザーダイオード(LD)に印加する電流をファンクションジェネレータで変調し,電流波形を三角波や矩形波にして,レーザー出力波形をオシロスコープで観察しました.三角波の周波数を変化させながらレーザー出力の波形変化を計測し,波形が変化する原因について考察しました.続いて,LDを方形波で駆動したときに光出力パワーの時間変化として観測される緩和振動の周波数を電流値に対して測定し,緩和振動周波数が電流値の平方根の値に比例することを確認しました.最後に,パルス発振させた場合に光出力パワーが最大になるよう電流波形を調整して利得スイッチングによる短パルス発生を行い,CW発振した場合と光出力パワーのピーク強度を比較しました.実習Aでは,まず,半導体レーザー,プリズム,出力鏡から構成される外部共振器レーザーを構築し,外部共振器レーザーについて理解した後,プリズムの角度を調整することで,発振する光波長の掃引が可能であることと,その原理について理解しました.次に,共振器中に,ガラス中に温度差を加えることで屈折率勾配を作り,出射する光の向きを変えることのできる光偏向器を配置しました.温度を制御することでプリズムへの入射角度を変化させて,波長掃引する原理とその実際について理解しました.レーザー出射に掃引型Fabry–Pérot(FP)共振器を設置し,FP掃引周波数や駆動電流,光偏向器の温度を変化させて,授業で解説いただいたFP Etalonによる同心円パターンが波長によって変化する様子を計測しました.

本実験実習では,文部科学省「光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)」先端レーザーイノベーション拠点「ALICe」と工学系研究科附属光量子科学研究センターのご支援を受け,工学系研究科精密工学専攻の瀬野宏さん,浅野圭佑さん,理学系研究科物理学専攻の戸田圭一郎さんにティーチングアシスタントとしてご協力いただきました.

2019 July 1 〜 July 4 昭和オプトロニクス株式会社
講義・実験実習風景