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2018年6月11日(月)、東芝エネルギーシステムズ株式会社 椎原克典 先生による先端光科学講義I「電力プラントにおけるレーザ応用保全・検査技術」が開講されました。6月12日(火)〜14日(木)、椎原克典 先生、廣田圭一 先生、山本 摂 先生、上野聡一 先生、辻 明宏 先生 による先端光科学実験実習I「光を用いた検査技術の実習」が開講されました。

講義では、原子力発電所の発電プラントは,長期間に渡って安全に運用されなければなりません.そのためには,プラント材料の高強度化や,定期的な安全性検査が必要となります.講義では,レーザーと材料の相互作用を解説していただいた後,材料の改質や検査,加工への応用事例をご紹介いただきました.パルスレーザーを材料に照射した際に生じる衝撃波で金属表面を押し伸ばし材料の強度を向上させるレーザーピーニング技術や,材料内部の傷やクラックを非接触で検知するためのレーザー超音波探傷について,その原理とともに解説していただきました.また,発電プラントのような巨大な構造物を検査するために開発されたファイバー伝送方式など,様々な工夫についても説明していただきました.

実習は2チームに分かれて行われました. レーザーピーニングの実習では,まず応力によって生じる金属材料の傷や,それによって生じる腐食の影響について学び,レーザーピーニングにより応力を改善することの重要性について学びました.その後,YAGレーザー(波長532 nm)を使って,アルミ金属片へのレーザーピーニング加工を施しました.応力の変化により,アルミ材料が変形していることを確認し,応力の効果の大きさを,身をもって体感しました.最後に,ピーニング加工した箇所の応力値をX線応力計測器で計測し,ピーニング加工の前後で応力が変化していることを確認しました. レーザー超音波探傷の実習では,まずHeNeレーザーを使ったマイケルソン干渉計を構築しました.片方のミラーに超音波振動子を取り付けた状態で干渉光の強度を計測し,超音波の周波数に応じた強度変動が現れていることを確認しました.続いて,ミラーの代わりにステンレスの試験片を使ってマイケルソン干渉計を構築しました.超音波振動子の代わりにYAGレーザーを照射しました.YAGレーザーが照射された際に生じるプラズマの衝撃波が超音波となってステンレス試験片を振動させ,その振動を干渉光の強度変動として捉えることに成功しました.

本実習では、「先端光量子アライアンス」ならびに「東京大学工学系研究科附属光量子科学研究センター」にご支援いただき、博士課程学生の福原竜馬さん(東京大学大学院工学系研究科),修士課程学生の岡本史也さん(東京大学大学院工学系研究科)にティーチングアシスタントとしてお手伝いいただきました。

2018 June 11 〜 June 14 東芝エネルギーシステムズ株式会社 講義・実験実習風景